ノンフィクション
2025年07月08日 03時23分

『大いなるナショナリスト 福澤諭吉』を読んで感じた「過去との対話」の大切さ

福澤諭吉に触れる

こんにちは。私は都内のデザイン事務所で働く30代の女性です。今日は、藤原書店から出版されている渡辺利夫さんの『大いなるナショナリスト 福澤諭吉』を読んだ感想をお話ししたいと思います。正直、福澤諭吉というと『学問のすゝめ』で有名な人ぐらいの認識しかありませんでした。でも、この本を読んで彼の生きた時代や考え方がいかに多層的で、現代に通じるものがあるのかを知り、なんだか胸が熱くなりました。

まず、福澤の「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という言葉。小学校の教科書で見かけて「へぇ、スゴイ」と思った記憶がありますが、実際にその背景を知ると、単なる平等のメッセージを超えて、社会の変革を促す強い意志が込められているんだと感じました。彼が生きた幕末から明治にかけての日本は、まさに世界の荒波に揉まれながらも新しい国としての形を模索している時代。その中で彼がどんなに必死だったか、そしてその必死さがどこから来ていたのかを考えると、胸がいっぱいになります。

過去と今をつなぐもの

私が特に心に残ったのは、福澤が「過去世代との連帯」を大切にしていたという点です。これは、現代を生きる私たちにも通じるメッセージだと思いました。現代社会では、しばしば新しい技術や考え方がもてはやされ、古いものは効率が悪いとか、時代遅れだとか、そんな風に切り捨てられがちですよね。でも、福澤の考え方は違います。彼は、過去の人々が積み重ねてきたものの中にこそ、未来を切り開くためのヒントがあると信じていました。

実際、彼は幕末の武士たちの精神、つまり士魂や士風に対して深い敬意を払っていたんです。これってすごくないですか?たとえば、私たちの仕事でも、過去のプロジェクトや先輩たちのアイデアが今の私たちを支えていることがよくありますよね。そんなふうに、彼は過去の良いところをしっかりと受け継ぎながら、新しい時代に適応しようとしていたんだなと感動しました。

福澤諭吉の現実主義に触れて

そしてもうひとつ、福澤の現実主義的な視点にも驚かされました。私は、彼が理想主義者だと思っていたんですが、実際には非常に現実的な考え方を持っていたんですね。たとえば、『通俗国権論』での「万国公法は数門の大砲に若(し)かず」という言葉。これ、衝撃的でした。国際社会での独立を守るためには、理想だけではなく、現実的な力が必要だということを彼は痛感していたんですね。

福澤は、単に理想を語るだけでなく、現実を直視し、そこからどう行動するかを考える人だったんだなと改めて感じました。私たちも、夢や理想を持つことはもちろん大切だけど、そこに向かうためには現実をしっかり見ることが重要なんだなぁと、彼の言葉から学びました。

福澤諭吉の言葉が持つ力

最後に、福澤の言葉が時代を超えて今もなお多くの人々に影響を与えている理由がわかった気がします。彼が生きた時代と今では、社会の形も、技術も、価値観も大きく異なります。でも、人間が生きる上での根本的な部分は、実はそんなに変わっていないのかもしれません。福澤の言葉には、時代を超えて私たちの心に響く何かがある。それが、彼の言葉の力なんだなと。

本を読みながら、何度も「わ〜これ、めっちゃ好き!」と感じました。彼の考え方をもっと知りたくなったし、彼が見た世界を私ももう少し見てみたいと思いました。福澤諭吉という人物を通して、過去と今をつなぐ旅ができたような、そんな読書体験でした。

この本を手に取ることができて、ほんとに良かったです。皆さんも、もしよかったらぜひ読んでみてください。きっと福澤諭吉という人物が、もっと身近に感じられると思いますよ。

咲

本を読むのが、とにかく好きです。小説、ノンフィクション、マンガ、絵本、自己啓発、レシピ本まで、なんでも気になる「ジャンル雑食派」。休日はよく本屋さんやカフェで一日過ごしています。

「本はもっと気軽に読んでいい!」が私のモットー。本を難しく語りすぎるのはちょっと苦手で、「楽しい」「泣いた」「めっちゃ好き!」と素直に感じたまま、書評を書いています。

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