ノンフィクション
2025年08月24日 15時08分

「あたたかいお産: 助産婦一代記」を読んで感じた、命の重みと日常の美しさ

はじめに感じたこと

こんにちは、福岡出身の20代後半、元エンジニアの読書好きです。この間、野本寿美子さんの『あたたかいお産: 助産婦一代記』を手に取りました。この本、最初はちょっとどうかなと思っていたんです。助産婦の一代記って、普段の僕の趣味とは少し違うかなと。でも、読み始めたら、じわじわ心が温まる感覚があって、最後まで一気に読んでしまいました。

この本は、野本さんが50年以上にわたって助産婦として歩んできた人生を追ったものです。彼女の手は「美しい」と評されるほどで、その手がどれほどの命をこの世に送り出してきたのかを考えると、ただただ尊敬の念が湧いてきます。その手の美しさに、命の重みと日常の美しさを感じられるのが、この本の魅力の一つだと思います。

助産婦という職業の奥深さ

野本さんの歩んだ道のりは、単なる職業人生ではなく、まさに人生そのもの。彼女自身が「天職」と呼ぶにふさわしい、深い愛情と信念に満ちています。僕が特に心に残ったのは、彼女がどんな時代にも屈せず、赤ちゃんとその家族に寄り添い続けたこと。彼女自身が「天職だから」と言って、家族の行事に出られなかったこともあるというエピソードには、彼女の職業への献身と、そこに込められた思いの強さを感じました。

この本を読み進めるうちに、助産婦という職業がどれほど奥深いものかを思い知らされました。単に赤ちゃんを取り上げるだけでなく、母親の心のケアや、家族全体のサポートも含まれるんですね。野本さんの経験談を通じて、僕自身の視野も広がった気がします。

心に響いたエピソードたち

数々のエピソードの中で、特に印象に残ったのは、戦後の多摩深大寺での出来事です。妊婦たちが畑仕事をしながらも、家族のために懸命に働く姿は、自分の祖母の話と重なるところがありました。僕の祖母も昔、田舎で家族を支えながら、泥まみれになって働いていたと聞いたことがあります。そんな時代を生き抜いた女性たちのたくましさに、ただただ頭が下がる思いです。

また、ラマーズ法との出会いも興味深かったです。野本さんがその手法を取り入れるきっかけとなったのが、立川での助産婦との出会いだったというのは、まさに「地縁」と呼べるものかもしれません。僕たちが普段意識しないところで、誰かの人生に影響を与える出会いがあるというのは、考えてみると不思議で、そして素敵なことですよね。

心に残った余韻

読み終えた後、心に残ったのは「静かに泣ける」余韻でした。派手さはないけれど、命の重みと日常の美しさがじわじわと心に染みてきました。野本さんの人生を通して、僕自身も何か大切なものを見つけた気がします。この本を読んで、一つ一つの命に対して、もっと真摯に向き合おうと思いました。

僕にとって、この本は「良書」です。それは、読み終わった後も、何度も思い返したくなるエピソードがたくさんつまっているから。心に静かに、そして強く残る一冊でした。ぜひ、あなたもこの本を手に取って、野本さんのあたたかいお産の世界に触れてみてください。

晴斗

晴斗

福岡在住、静かな読書が好きな会社員です。ノンフィクションや地方の物語を読みながら、自分の暮らしをゆっくり整えています。派手な本よりも、じんわり心に残る本が好きです。読書は、静かだけれど豊かな旅だと思っています。

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