心の航海を描くシーパワー理論と歴史の物語
私が出会った「シーパワー理論」の世界
こんにちは。今日はちょっと不思議な読書体験をお話ししたいと思います。私が手に取ったのは、福山隆さんの本。元陸将の著者が紡ぐ、トランプ大統領や歴史的なシーパワー理論についての一冊です。正直、最初は少し難しそうだな、と身構えたんですが、読み進めていくうちに、じわじわと心に沁みてくるものがあったんです。
この本を読んでいると、なんだか大きな海の上を航海しているような気持ちになりました。マハンの「海洋を制するものが世界を支配する」という理論が根底に流れているんですが、ただの理論書ではなく、歴史の潮流に乗って、世界がどう変わってきたのかを教えてくれるんです。
歴史の中で心に残った瞬間たち
本の中で特に印象に残ったのは、セオドア・ルーズベルトとマハンの関係です。彼らが友人だったということは、まるで歴史の教科書から飛び出してきたような話で、ちょっとした驚きでした。ルーズベルトが日本の移民を制限したという話も、ただの過去の出来事としてだけでなく、当時のアメリカの心情や恐れが垣間見えるようで、心に引っかかりました。
また、日系人の強制収容や原子爆弾の投下についての著者の考察は、アメリカの深層心理を掘り下げていて、歴史が単なる出来事の羅列ではないことを教えてくれます。私自身、祖父から戦時中の話を聞いたことがあるんですが、その時のことを思い出してしまいました。私たちが今、平和の中にいることのありがたさを改めて感じる瞬間でした。
台湾とアメリカ、そして私たち日本
台湾についての章では、中国がどのようにして海上封鎖を行う可能性があるのか、そしてそれに対抗するアメリカの戦略が描かれています。ここで感じたのは、地理的に近い日本も無関係ではいられないという現実です。もし台湾周辺で何かが起きたら、日本も巻き込まれるかもしれないという警告は、非常に現実的で、私の心をざわつかせました。
著者が言う通り、最悪のシナリオも考えておく必要があるというのは、ちょっと怖いけれど、確かに重要なことだと思います。日常の中で、つい見過ごしがちな「もしものこと」を考えるきっかけになりました。
日々の中で感じる、不安と希望
読後に、私はこう思いました。国際情勢は常に動いていて、私たちが知らないところで大きな流れがある。だけど、その流れの中で、私たちは何を信じ、どこに立ち続ければいいのか。そんなことを考えさせられました。日常はふとした瞬間に、歴史の一部になることがあるのです。
この本を読み終え、本棚に戻すとき、私は心の中でこうつぶやきました。「そっと本棚に置いておきたい一冊です」と。いつかまた、この本を開く日が来るでしょう。そのときには、少しでも世界が平和な方向に進んでいることを願いながら。