『決断なんて「1秒」あればいい』が教えてくれた、感じる力と生き方の本質
感じる力が人生を変える
桜井章一さんの『決断なんて「1秒」あればいい』は、私にとってとても特別な本になりました。読んでいる間、まるで自分の中の何かが静かに揺さぶられるような感覚を覚えたんです。桜井さんの言葉は、理論ではなく、彼自身の経験から紡ぎ出された生きた言葉だからこそ、心に深く沁み渡りました。
特に印象に残ったのは「感じる力を研ぎ澄ませ」というメッセージです。私たちが日々たくさんの情報やデータに囲まれている中で、つい頭でっかちになってしまいがちですよね。でも、桜井さんはそれを手放して、もっと自分の感覚を信じてみろと教えてくれます。それは、まさに私が普段忘れてしまいがちなことでした。何か決断を迫られるたびに、損得を考えたり、他人の評価を気にしたりして、行動が制約されていたように思います。
「まっすぐ家に帰る」という覚悟
本の中で、桜井さんが小学生の頃に決めた「まっすぐ家に帰る」という話が出てきます。普通の人が言う「まっすぐ帰る」とは全然違って、桜井さんは文字通り、学校から家まで一直線で帰ることを選びます。途中には他人の家が立ちはだかり、屋根を越えなければならないという困難が待ち構えているのに、それでも自分で決めた道を進むんです。
このエピソードを読んで、ふと思い出したのが、私が子供の頃、初めて一人で自転車に乗った時のことです。行きたい方向に進むのは簡単ではなく、何度もふらつき、転びそうになりながらも、必死にペダルをこぎ続けました。目的地に着いた時の達成感といったら、今でも鮮明に覚えています。自分で決めたことをやり遂げるって、こんなにも力強いものなんですね。
厳しい道を選ぶという生き方
桜井さんの人生を振り返ると、常に「厳しい道」を選び続けてきたことがわかります。たくさんの選択肢がある中で、あえて一番大変そうな道を選ぶ。その決断力はどこから来るのか、不思議でたまりませんでした。
私自身も、何か選択を迫られる時、つい楽な方を選びがちです。困難な道は避けたい、できればスムーズに進みたいと思ってしまうのが人情ですよね。でも、桜井さんはそういった道を避けずに直面し続け、そこから多くの学びを得ているのです。その姿勢に、ただただ圧倒されました。
また、桜井さんが結婚相手を選んだ基準も、普通とは違います。なんと、結婚して一番大変そうな女性を選んだと語っています。普通は、楽しくて安心できる相手を選びがちですが、桜井さんはその逆を行く。それはつまり、楽な選択肢を選ぶことが常に正解とは限らない、ということを示しているように感じました。
情報よりも体験を重視する
現代社会では、情報が溢れています。私たちはニュースやSNS、さまざまなデータに日々触れ、それに基づいて判断を下すことが多いですよね。でも、桜井さんは「データや知識に頼るな」と強く言います。その代わりに、自分の体験や感じる力を信じるべきだと。
この言葉を読んで、私も普段何かを決める時にどれだけ情報に頼っているかを考えさせられました。たしかに、情報は便利ですが、それが必ずしも正しいとは限りません。むしろ、自分の経験に基づいた判断の方が、より確固たるものになるのかもしれません。
桜井さんの言葉を借りれば、感じたことを信じて行動することが、最終的には最良の結果をもたらすのだと思います。それは、理屈ではなく、心の底から納得できることだからです。
決断を「1秒」で行うための準備
最終的に、桜井さんが教えてくれるのは、決断力というのは特別な能力ではなく、事前にどれだけ準備をしているかにかかっているということです。例えば、レストランで10分もメニューを悩む人がいる一方で、桜井さんは1秒で決めてしまいます。それは、既に何を食べたいか決めているから。つまり、事前の準備が決断を速やかにするのです。
この考え方は、私の仕事にも通じるものがあります。エンジニアとして働く中で、プロジェクトがスムーズに進むかどうかは、どれだけ準備ができているかにかかっています。トラブルが発生するたびに、事前に考えていた対策を実行するだけで、決断は一瞬で済むのです。
桜井さんの本を通じて、改めて自分の準備の在り方を見直すことができました。決断が遅れるのは、準備不足以外の何物でもない。これからは、もっとしっかりと準備をして、瞬時に決断できる自分を目指したいと思います。
まとめ:感じる力で生きる
『決断なんて「1秒」あればいい』を読み終えて、私が得たものは、感じる力を信じることの大切さです。日々の選択において、情報や他人の意見に左右されるのではなく、自分の感覚を信じて行動すること。それが、本当に自分の人生を生きるということだと感じました。
桜井さんの言葉は、静かに、しかし力強く私の心に残りました。「考えるな、感じろ」という言葉を胸に、これからの人生をもっと自分らしく歩んでいきたいと思います。