ノンフィクション
2025年12月03日 03時16分

『近世写本文化論: 出雲国風土記を書写した人々』を読む:写本が紡ぐ歴史と人の縁の物語

写本の世界に引き込まれて

みなさん、本ってすごいですよね。特に古い時代の書物って、その時代の空気感とか、人々の生活が詰まっている感じがして、なんだかロマンを感じませんか?今回読んだ『近世写本文化論: 出雲国風土記を書写した人々』も、そんな古の世界へと私を誘ってくれた一冊です。

この本、出雲国風土記という古い地誌を写本した人々に焦点を当てているんですけど、単なる歴史の記録としてだけでなく、人と人とのつながりがどうやって文化を紡いできたのか、そんなことがじんわりと伝わってきました。特に、写本の調査をきっかけに、いろんな人との縁が生まれていく様子が描かれていて、なんだか心が温かくなりました。

写本が教えてくれること

写本って、ただの古い本のコピーじゃないんですよね。実際にどんな人が、どんな思いで書写していたのかを考えると、ただの文字の集まりが一気に生き生きとしたものに感じられるんです。今回の『近世写本文化論』を読んでいて、ふと子どもの頃を思い出しました。夏休みの自由研究で、祖母の古い日記を写してみたことがあって、その時もなんだか不思議な感覚に包まれたんですよね。まるで、祖母と心の中で会話しているような。

この本では、出雲国風土記の写本を通して、過去の人々のつながりや交流が見えてきます。写本の調査が進むにつれて、古田氏本や狩谷氏本といった写本間の関係が明らかになっていく様子は、まるで歴史のパズルを一つ一つ解いていくようで、読んでいてワクワクしました。

人の縁が歴史を紡ぐ

写本調査の過程で出会った人々の話も、この本の魅力の一つです。調査のきっかけとなった郷原家本の所蔵者、郷原さんとのやりとりや、写本を見せてもらうために訪れた図書館や博物館でのエピソードが、どれも心に残りました。調査が進むにつれて、新しい出会いや発見があるたびに、「ああ、人って本当に面白いなあ」と感じました。

思えば、私も本を通じていろんな人と出会ってきました。本を読んで感想を共有するだけでなく、そこから新しい友達ができたり、思いもよらない場所に行くことになったり。『近世写本文化論』を読んでいると、そんな自分の経験がふと頭をよぎり、本というものの力を再確認しました。

心に残る読書体験を

『近世写本文化論: 出雲国風土記を書写した人々』は、単なる歴史書ではなく、人間味あふれる物語でした。写本を通して、過去の人々がどのように生きてきたのか、その背景にある人間関係が浮かび上がってくる様子が、とても興味深かったです。

本を読むことって、ただ知識を得るだけじゃなくて、自分の心に響く何かを見つけることでもあるんだろうな、と改めて思いました。皆さんもぜひ、この本を手に取って、写本の世界に浸ってみてください。きっと心に残る読書体験になると思います。

咲

本を読むのが、とにかく好きです。小説、ノンフィクション、マンガ、絵本、自己啓発、レシピ本まで、なんでも気になる「ジャンル雑食派」。休日はよく本屋さんやカフェで一日過ごしています。

「本はもっと気軽に読んでいい!」が私のモットー。本を難しく語りすぎるのはちょっと苦手で、「楽しい」「泣いた」「めっちゃ好き!」と素直に感じたまま、書評を書いています。

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