「怒り」が教えてくれた心の声――私と本の静かな対話
はじめに――一冊の本が心に触れる瞬間
こんにちは、北海道の小さな町で書店員をしている者です。今日は、私が最近読んだ一冊の本についてお話しさせてください。堀内恭隆さんの『怒りのコントロール』という本です。怒りについての本なんて、一見すると少し地味に感じるかもしれませんが、私にとってこの本は、心の中の小さな声に耳を傾けるきっかけとなりました。
私自身、怒りという感情には慎重な距離を保って生きてきたように思います。怒りを爆発させることはほとんどなく、むしろその感情を自分の中でじっくりと考えすぎてしまうタイプです。時には、そのせいで言いたいことがうまく伝えられず、後悔することもありました。
怒りとの対話――自分の内側を見つめること
この本の中で、著者は怒りを感じたときに自分の内側に潜む「本当の原因」を見つめ直すことの大切さを説いています。例えば、年下の上司に意見をひっくり返されて怒りを感じたとき、その怒りの奥にある「認められたい」という願望に気づけるかもしれない、と。本当にその通りだなぁと思いました。私も、普段なら気にも留めない些細なことにイライラしてしまう時は、何か他の原因があることに気づくことがあります。
思い返せば、私が子どもの頃、祖父から「怒ることは誰にでもある。でも、その理由を自分で見つけることが大事だ」と言われたことがありました。当時はそんなことを考えもしませんでしたが、今になってその言葉の意味が少しずつわかってきた気がします。怒りは悪者ではなく、私たちが何かを求めているサインなんですよね。
日常の中で見つけた、怒りのコントロール法
本には、怒りをコントロールするための具体的な方法がいくつか紹介されていました。例えば、イライラしたときに体を動かすとか、マッサージを受けるとか。実際に試してみると、確かに心が少し軽くなった気がします。私にとっては、自然の中を散歩することが最高のリフレッシュ法かもしれません。北海道の広い空と大地に包まれると、なんとなく自分の悩みが小さく感じられてきます。
また、怒りを感じたときには「私はいま怒りを感じている」と言葉に出してみると、少し客観的に自分を見られるというアドバイスもありました。これには驚きました。実際にやってみると、怒りという感情を少し引いて見られるようになった気がします。それは、まるで自分がもう一人の自分を優しく見守っているような感覚です。
心に響いた言葉――本が教えてくれたこと
本の中で、特に心に残ったのは「理想と現実のギャップが、怒りの原因になることがある」という言葉です。自分の理想通りに物事が進まないとき、ついそのフラストレーションを他人に向けてしまうことがあると。これを読んで、私もハッとしました。心のどこかで、完璧を求めすぎている自分に気づかされました。
日常の中で、私たちはつい理想に縛られてしまいがちです。でも、その理想を少し緩めて、「今ここにいる自分」を認めることができたら、もっと心穏やかに過ごせるのかもしれませんね。
この本を読み終えて、私の中で何かが少しずつ変わり始めた気がします。怒りも、喜びも、悲しみも、すべてが私自身の一部であり、それをどう扱うかが大切なんだと教えてくれました。これからも、心の声に耳を傾けながら、日々を大切に過ごしていきたいと思います。
もし、この本を手に取る機会があれば、ぜひそのページをめくりながら、あなた自身の心の声にも耳を傾けてみてください。きっと、優しい読書の時間があなたを待っていることでしょう。