ノンフィクション
2025年07月04日 21時51分

静かに染み入る、パリの時を巡る旅 – 『物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年』

こんにちは。福岡出身の20代後半、元エンジニアの読書好きな男です。今日は、最近読んだ『物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年』という本について、心の動きをそのままに、ちょっと語ってみようと思います。

パリの歴史に心を奪われる

この本を手に取ったきっかけは、ちょっとした偶然からでした。そもそも、パリという都市に特別な思い入れがあったわけではなくて。でも、ページをめくるうちに、いつの間にかその歴史の深さに引き込まれていました。著者の福井憲彦さんが、まるで自分の声で語りかけてくるような感覚がして、気づけば時間を忘れて読み進めていたんです。

パリは、ただ単に美しいだけの街ではないんですね。ルーヴル美術館が元は城だったとか、シャン・ゼリゼの開発がメディチ家出身の王妃の影響を受けているとか、そういう話を聞くと、ただの歴史的事実が生き生きとした物語になっていくのを感じました。ルネサンスの影響を受けた都市の美化というのも、なんだかロマンチックで、思わずその時代のパリを見てみたいと想像せずにはいられませんでした。

過去と現在が交錯する街

それにしても、パリって面白いですよね。歴史が長いだけに、過去と現在が交錯している。ナポレオン三世とセーヌ県知事オスマンによる大改造の話では、19世紀の都市計画の大胆さに驚かされました。上下水道の整備や街路樹の計画、ガス灯の照明まで、まさに未来を見据えた都市づくりだったんだなと感心しました。

私はエンジニアだったこともあって、こういったインフラの進化の話にとても興味を惹かれます。未来を見据えるって、当時の人たちにはどんな風に映っていたんでしょうね?今の私たちが未来のために何をしているのか、考えさせられる瞬間でした。

モンマルトルの丘と静かな対話

中世の学術文化の都としてのパリもまた魅力的です。モンマルトルの丘の話では、私自身がその丘を歩いているかのような錯覚に陥りました。パリの過去を知ることで、現代のパリがまた違った色合いに見えてくるんです。これって、本を読むことの醍醐味ですよね。「本の中に人生のヒントを見つける」というのは、まさにこういう瞬間のこと。静かに対話する、そんな感覚です。

そういえば、ノートルダム大聖堂の前に広場がなかったというのも興味深かったです。今ではあの壮大な建物を見上げるのが当たり前の光景になっていますが、当時の人々は一体どんな気持ちでこの聖堂を見ていたのか、と考えると、時間を超えて彼らと対話しているような気分になりました。

じわじわと心に残るもの

この本を読んで感じたのは、派手じゃないけど、静かに心に残るということ。福井さんの筆致はどこか淡々としているけど、その中にある愛情と熱がじわじわ伝わってくるんです。それが、私にとってこの本の最大の魅力でした。

「最後まで読むと、静かに泣ける」という感じでしょうか。パリという都市が、単なる観光地ではなく、人々の生活や歴史が積み重なった場所であることを強く実感しました。読んでよかったな、と心から思える一冊です。

もし、パリの歴史に興味がある人がいたら、ぜひ一度手に取ってみてください。きっと、あなたの中にも新しい何かが芽生えるはずです。

晴斗

晴斗

福岡在住、静かな読書が好きな会社員です。ノンフィクションや地方の物語を読みながら、自分の暮らしをゆっくり整えています。派手な本よりも、じんわり心に残る本が好きです。読書は、静かだけれど豊かな旅だと思っています。

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