『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』と私の静かな戦い
この本を手に取ったのは、ちょうど大学のレポートが重なって、時間に追われていた時だった。タイトルに惹かれたというより、むしろ「なぜ終わらないんだろう?」という自分の切実な問いが私をこの本へと導いた。著者の中島聡さんは、マイクロソフトで活躍した伝説的なプログラマーで、純粋な好奇心と共に、彼の時間術がどんなものか知りたかった。
最初に心に引っかかったこと
読み始めて早々、私は「ラストスパート志向」の話に引っかかった。私自身、締め切り間際になってようやくエンジンがかかるタイプで、これまでそのやり方で何とかやってきた。けれど、どこかで「これでいいのか?」という疑問もあったんです。中島さんは、この「ラストスパート志向」が仕事を終わらせない最大の原因だと指摘していて、そこに妙に納得してしまった自分がいた。
特に心に残ったのは、仕事を始めた直後の2割の時間で、全体の8割を終わらせるという「ロケットスタート時間術」。最初に全力で飛び出してしまうという考え方は、私にとっては革命的でした。でも、その一方で、そんなことが本当にできるのだろうかという半信半疑な気持ちもあって、ちょっと複雑でした。
読んで感じたことと自分の小さな抵抗
私は、読書を通じて自分の思考を整理したり、逃避したりするのが好きなんです。この本を読んでいる間も、自分の中でいろんな感情が渦巻いていました。例えば、「界王拳」と呼ばれる集中力の最大化の話。早朝に集中して仕事を片付けるというのは理にかなっているし、私も試験前には早起きして勉強することが多い。でも、日常的にその集中力を引き出せるかというと、やはり難しさを感じてしまう。
それから、昼寝の重要性についても語られていました。確かに、午後の授業で眠気に襲われることが多い私にとって、18分の昼寝が効果的だというのは興味深い話でした。でも、なぜかそのことを実行に移すのには抵抗があった。何だか、今の自分の生活リズムを変えることに対する恐れのようなものがあったのかもしれません。
仕事を超えて人生を考えさせられる瞬間
本書の終盤で語られる「時間を制する者は、人生を制す」という言葉が、何度も私の心に響きました。大学生活も後半に差し掛かり、将来のことを考える機会が増える中で、どう時間を使うかは重要なテーマです。著者が言うように、嫌なことを早く終わらせて好きなことに時間を使うという考え方は、シンプルだけどとても大切だと思う。
でも、そんな中で私が一番心に残ったのは、「集中できないのではなく、やりたくないだけ」という言葉でした。確かに、やりたくないことに対しては、どうしても集中力が続かない。それは、私が子どもの頃から感じていたことでした。だからこそ、自分が本当にやりたいこと、夢中になれることを見つけることが、これからの私にとっての大きな課題だと思っています。
この本を読んで、私は自分の中にある静かな絶望と小さな希望を再確認したような気がします。これが今の私の読み方です。結論は出せないけれど、少なくとも、今の私にとっては大きな一歩だと思います。結局のところ、自分の時間をどう過ごすかは、自分次第なんだと改めて気づかされました。