エッセイ
2025年08月22日 10時03分

「小さくても大きな力を持つ」心に響く ビジネスの在り方

この本を手に取ったのは、いつもの書店の片隅、ひっそりとしたコーナーでした。「小さなチーム、大きな仕事」――そのタイトルには、なんだか親しみが湧きました。普段の生活でも、私たちは大きなことよりも、小さくても確かなものに価値を見出すことが多いです。だからこそ、著者たちの言葉は私の心にじわりと染み渡っていきました。

身軽でいることの大切さ

著者のジェイソン・フリードさんとデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンさんが語る「身軽でいること」。この言葉には、なんだか懐かしい響きがあります。私の祖父は、いつも「余計な荷物を持つな」と言っていました。それは物理的な荷物だけでなく、心の中の重荷についてもです。この本を読み進めていくうちに、そんな祖父の言葉を思い出しました。

著者たちは、リモートワークを活用し、小規模で効率的な経営を行っています。彼らの会社「ベースキャンプ」の運営方針は、まさに「身軽でいる」ことを体現しています。大企業のように多くの社員を抱えることなく、必要なときに必要なだけのリソースを使って最大限の成果を上げる。これこそが、現代の多くの企業が模索すべき道の一つなのかもしれません。

この考え方は、私たちの個人生活にも応用できるのではないでしょうか。物を持ちすぎず、シンプルに生きることで、心に余裕が生まれます。ぜひ、日常の中で「身軽でいること」を意識してみてほしいです。

まずは始めてみる勇気

「まずは作り始めよう」というメッセージは、まるで私たちに背中を押してくれるようです。多くの人が、新しいことを始める際に「準備が整ってから」と考えがちですが、著者たちは「今、できることから始める」ことを強調しています。その言葉に、私は何度も頷いてしまいました。

これを読んで、私はふと、絵本の読み聞かせを始めた頃のことを思い出しました。最初は緊張して、上手くできるかどうか不安でしたが、とにかくやってみることで、少しずつ自信がついてきたのです。やってみることで得られる経験こそ、本当に貴重なものなんですね。

また、著者たちの「時間がないは言い訳にならない」という言葉は、忙しい現代人にとって耳が痛いかもしれません。でも、その通りです。時間を見つけるのではなく、時間を作る努力をすることが大切。それが、私たちの成長に繋がるのではないでしょうか。

ひとりモードの効用

著者たちが強調する「ひとりモード」の重要性は、まさに私の生活にもしっくりときました。ひとりで集中する時間を持つことで、クリエイティブな発想や生産性が飛躍的に向上します。この考え方は、私が本を読みながら感じる「静寂の時間」と似ているかもしれません。

店の片隅で、静かに本の世界に浸っていると、まるで時間が止まったかのように感じます。その静寂の中で、新しいアイデアや発見が生まれることが多いのです。日々の喧騒から離れ、ひとり静かに考える時間を大切にしようと改めて思いました。

また、著者たちの「打ち合わせを減らす」という姿勢には、古い慣習に捉われない新しい働き方の可能性を感じました。仕事においても、無駄な会議や打ち合わせを減らし、個々の時間を尊重することが大切だと痛感しました。

顧客との真摯な交流

そして、顧客や記者との交流においても、一人ひとりの声を大切にする姿勢に心を打たれました。「ベースキャンプ」が多くの人に愛される理由は、まさにこの「小さな声に耳を傾ける」姿勢にあるのかもしれません。

私たちの生活でも、周囲の人々の声に耳を傾け、真摯に向き合うことが大切だと思います。日々の中で、近くにいる人の小さな声を聴くことが、どれほど大切か、改めて考えさせられました。

この本は、単なるビジネス書ではありません。人としてどう生きるべきか、どのように仕事と向き合うべきかを考えさせてくれる一冊です。静かに、でも確かに、私たちの心に影響を与えてくれる本です。もしもあなたが、生活や仕事に迷ったとき、この本を手に取ってみてください。きっと、心にやさしい風を感じられるでしょう。

rio_reads

rio_reads

北海道の小さな町で、静かに本を手渡す日々を送っています。子どもの頃、祖父にたくさんの昔話を読んでもらったことが、今でも心の芯に残っています。流行の本よりも、少し古びた本や、静かに棚の奥に佇む本に惹かれます。

物語の余韻や、そっと心に残る言葉を大切にしたい。そんな気持ちで、読んだ本をゆっくり、ていねいに紹介しています。派手ではないけれど、誰かの暮らしをちょっとだけあたためる、そんな本と出会えたら嬉しいです。

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#ビジネス哲学
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