ノンフィクション
2025年12月04日 03時10分

「企業の再生から学ぶ人生のヒント〜『危機を乗り越える企業』を読んで」

こんにちは、高橋湊です。今日は、杉浦泰さんの『危機を乗り越える企業』についてお話ししたいと思います。本書は、経営危機に直面した20社がどのように復活を遂げたかを詳述したノンフィクションです。読み始めた時は、正直なところ「企業の経営事例って、ちょっと堅苦しいかな」と思っていました。しかし、ページをめくるごとに、ただの経営指南書ではなく、そこには人間ドラマが満載で、いつの間にか虜になっていました。

赤字体質からの脱却とその先に見えたもの

この本の中で特に心に残ったのは、各企業がまず取り組んだ「赤字体質からの脱却」という部分です。例えば、IBMが間接部門を中心に人員を削減するなど、厳しい決断を迫られます。読んでいて、「これは企業の話だけど、個人の人生にも通じるな」と思わず考えさせられました。私自身、過去に仕事で行き詰まりを感じた時、何を優先して手放すか決断を迫られた経験があります。

その時に思い出したのが、やはり震災後に訪れた東北の人々の姿です。彼らは、失ったものを嘆くより、今あるもので何ができるかを考え、行動していました。企業も同じで、まずは不採算部門を整理し、資源を集中することで、次の一手を打つ準備を整えていたのですね。これができるかどうかが、命運を分けるんだと感じました。

社内抵抗の本質と人材の力

また、興味深かったのは企業内での改革に対する抵抗の話です。変化に反対する声が強い中で、改革を進める難しさ。例えば、無印良品ではPOSシステムの導入を怠っていた過去があり、現場が従来のやり方に固執していたエピソードが紹介されています。これを読んで、昔の職場での「新しい提案がなかなか通らない」という経験を思い出しました。その時は苛立ちも感じましたが、今思えば、その抵抗の裏には長年培ってきた文化や価値観があるんだなと理解できます。

そして、そんな状況を打破したのが、「新しい施策を実行できる人材」の存在です。IBMのガースナー氏やUSJの森岡毅氏など、これらの人材が企業再生の鍵を握っていました。なんだか、彼らの決断力や実行力にすごく感動しました。「人材が企業を変える」って、よく聞くけど、それが実際に形になった事例が目の前に広がっていると、ただの言葉じゃないんだなとしみじみ感じます。

経営の枠を超えて感じたこと

この本を読んで感じたのは、企業の再生物語を通して私たちの生活や仕事にも通じる普遍的なテーマがたくさんあるということです。特に、カルビーの事例で、工場の稼働率を上げるためにじゃがいもを大量調達して、ポテトチップスを値下げしてシェアを拡大した話なんて、まさに「現場でのリアルな判断と実行力がものをいう」瞬間だなと感心しました。

そして、企業の危機を乗り越えるために必要な柔軟な発想と行動力。それは、何か問題に直面したときにどう行動するかという、私たちの日常にも応用できる知恵だと思います。特に、震災後の東北の人々の姿を重ね合わせてみると、どんなに厳しい状況でも光を見つけ出す力が人にはあるんだと確信しています。

最後に、杉浦さんのこの本を通じて、私が得た最大の収穫は、「変化を恐れず、今あるもので何ができるかを考えること」の大切さです。これを胸に、また明日からの生活や仕事に活かせたらと思います。もし、少しでも興味が湧いたら、ぜひ手に取ってみてください。企業の話なのに、不思議と自分の人生と重なる瞬間があると思いますよ。

高橋 湊

高橋 湊

静かに本と向き合うのが好きな会社員。ノンフィクションや地方の物語を読みながら、自分の暮らしを少しずつ耕しています。派手さはないけれど、じわじわ染みる本が好きです。

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