ノンフィクション
2025年11月28日 10時16分

『深海の地図をつくる』を読んで:海の底に広がる未知の世界と思い出の地球儀

海底の地図を描くということ

こんにちは、北海道の小さな町で書店員をしている者です。今日は、ローラ・トレザウェイさんの『深海の地図をつくる』という本について、私の心の動きをお話ししたいと思います。正直に言えば、海底の地図を描くなんて、最初はそれほど興味のあるテーマではありませんでした。けれど、この本を手に取ったとき、ちょっとした探検が始まったような気持ちになったんです。たぶん、子どもの頃に祖父と一緒に地球儀を眺めていた日々を思い出したからかもしれません。

子どもの頃、祖父の書斎にあった古い地球儀を、私はよく指でくるくる回していました。ヒマラヤの凹凸や日本の小ささを感じながら、見たことのない土地に思いを馳せていました。でも、海の部分はいつも滑らかで、何の変哲もない青色でした。海の底がどんなふうになっているのかなんて、考えたこともありませんでしたね。

深海の未知と人類の挑戦

この本が教えてくれたのは、海の底が実はとても複雑で、私たちはそのことをほとんど知らないという事実です。「私たちは海の底よりも月の表面について、はるかに多くを知っている」と著者は言います。なんだか不思議な気持ちになりました。地球についてもっと知りたいと思う一方で、知らなくてもいいこともあるのかもしれないという不安も感じました。

この本の一番の魅力は、海底地図を描くために挑戦している人々の物語です。中でも、マリー・サープという女性の話が印象的でした。彼女が描いた海底地図が、地質学の大きな発見につながったんです。女性が科学の世界で活躍するのは、今でこそ当たり前かもしれませんが、彼女が活動していた時代はそうではなかった。それでも、彼女は自分の信じる道を進んでいった。なんだか励まされるような気がしました。

深海と人間の関わり

近年では、深海の資源に注目が集まっているそうです。マンガン団塊やレアアースの話を聞くと、なんだか怖い気もします。地上の資源を使い果たして、今度は海の底まで手を伸ばすのか、と。でも、この本は一方的にそれを否定するわけではなく、慎重に進めるべきだと示唆しているように思います。地球を理解することが、未来の賢い生き方につながるという考え方には、私も共感しました。

ここで一つ思い出したのが、地元の子どもたちと一緒に海のことを調べたときのことです。近くの小学校で「海の生き物を探そう」というイベントがあって、私はそのお手伝いをしました。子どもたちは、図鑑を片手に夢中で海辺の生き物を探していました。その無邪気な姿を見ていると、自然と人間が共存する未来を信じたくなります。

心に残る海の物語

この本を読み終えて、私はそっと本棚に戻しました。『深海の地図をつくる』は、なんだか心にやさしい読書でした。海の底のことを知ると同時に、自分の心の底も少し見えた気がします。海は広くて深いけれど、私たちの心もまた、同じように広くて深いのかもしれません。

もしも、あなたが少しでも海に興味があるのなら、この本を手に取ってみてください。もしかしたら、あなたの心にも新しい地図が描かれるかもしれません。

rio_reads

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北海道の小さな町で、静かに本を手渡す日々を送っています。子どもの頃、祖父にたくさんの昔話を読んでもらったことが、今でも心の芯に残っています。流行の本よりも、少し古びた本や、静かに棚の奥に佇む本に惹かれます。

物語の余韻や、そっと心に残る言葉を大切にしたい。そんな気持ちで、読んだ本をゆっくり、ていねいに紹介しています。派手ではないけれど、誰かの暮らしをちょっとだけあたためる、そんな本と出会えたら嬉しいです。

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