「小さなものの大きな力に魅せられて:市村弘正著『市村弘正著作集 上巻』を読んで」
こんにちは!この間読んだ『市村弘正著作集 上巻』の話をさせてください。多分、皆さんが思っている以上に、心を揺さぶられた本でした。市村さんの言葉の選び方が、とっても丁寧で、なんだか心に沁みるんですよね。
小さなものに目を向けるということ
まず、市村さんの文章を読んでいて感じたのは、「小さなもの」に対する大きな愛情です。普段、私たちって、つい大きなことばかりに目を向けてしまうじゃないですか。でも市村さんは、ちょっとしたことに耳を澄ませ、小さなものに光を当てるんです。それがとても新鮮だったし、なんだかホッとするような気持ちになりました。
例えば、『「名づけ」の精神史』の中で、物に対する哀悼から始めるべきだという一文があったんです。これを読んだ時に、あ、そうか、物にも心を込めて向き合うことが大事なんだなって。普段、スマホやコンピュータに頼りきりの生活をしている私たちにとって、ちょっと立ち止まって考えるきっかけを与えてくれました。
過去の言葉が今に響く
それにしても、市村さんの文章って、30年以上前に書かれたものなのに、今読んでも全然古くないんです。むしろ、現代にこそ必要な視点がたくさん詰まっているなと感じました。特に印象的だったのが、『小さなものの諸形態 精神史覚え書』に収められた「文化崩壊の経験」。過去の出来事を通して、今の社会を考えるヒントが散りばめられていました。
この部分を読んでいると、過去の文化や考え方が、今の私たちの生活にどう影響しているのか、ということを改めて考えさせられました。市村さんの言葉を借りると、「古本の再読」をすることで、古いものの中に新しい発見があるというのは、本当にその通りだなと思います。これって、ちょっとしたタイムトラベルみたいで、思いもかけないところで心に響くんです。
読むこと、考えることの楽しさ
最後に、『読むという生き方』について触れたいんですが、これがまた素晴らしいんです。読書についての市村さんの考え方が、まるで自分のことを言われているようで。彼の読書体験を追うことで、自分も本を通じてさまざまな世界に触れていることを再確認しました。
私が特に心を動かされたのは、「読んだ本の気にかかる著者に会いに行こう」という部分。これって、実際にはなかなかできないことだけど、気持ちとしてはすごく共感できるんです。読書って、ただ文字を追うだけじゃなくて、著者との対話でもあるんですよね。市村さんの言葉が、私自身の読書生活を豊かにしてくれる予感がしました。
市村弘正という案内人
市村弘正さんの本を読んで、ちょっとした冒険に出たような気がしました。普段の生活で見過ごしてしまいがちな小さなものに目を向けることで、こんなにも違う世界が広がっているんだということを教えてくれました。彼の著作集は、まるで心の中の地図のようで、どこに行っても新しい発見があります。
もし、あなたも日常の中で何か物足りなさを感じているなら、この本を手に取ってみてください。新しい目で世界を見つめ直すきっかけになるかもしれませんよ。私も、これからもっと小さなものに目を向けてみようと思います。そして、そんな発見をまた誰かと共有できたら嬉しいなと思います。