「hintゼミ」の新規事業フレームワークで見えてきた、自分の資産と思い出
「自分の資産」を掘り起こすということ
この本を最初に手に取ったとき、何か特別な期待を抱いていたわけではなかったんです。社会人向けのオンラインスクール「hintゼミ」を運営している斉藤さんの本ということで、まあ、起業に役立つノウハウが詰まっているんだろうな、といった程度の予想でした。でも、読み始めてすぐに、これは単なるビジネス書ではないと気づかされました。
まず、斉藤さんが提唱する「自分の資産を掘り起こす」という考え方。これが私の心にグッと刺さりました。普段、何気なく過ごしている日々の中で、自分の持っているものに気づくことって案外少ないんですよね。私は出版社で長く働いていたけれど、そのときの経験が「資産」として活用できるなんて、正直思ってもみませんでした。日々の業務や人との出会い、失敗や成功、それらすべてが自分だけの財産だと教えてくれるんです。
アイデアを絞り出すプロセスの面白さ
「マンダラート」や「ChatGPTとの対話」といったアイデア発想のツールも紹介されていて、これがまた面白いんです。特にChatGPTとの対話を通じて自分の考えを整理するというのは、新しい視点でした。文章を書くことが好きな私にとって、これはまるで新しいおもちゃを手に入れたような気持ちになりました。
このプロセスを進めていくうちに、自分が本当にワクワクする商品やサービスとは何かを見極めていくことの大切さを学びました。仕事に追われていると、どうしても効率や結果ばかりを追いがちですが、この本はそこに一石を投じてくれます。自分が「楽しい」と思えることをきちんと追求すること、それが結果として価値あるものを生むのだと気づかされました。
顧客の声に耳を傾けることの重要性
本書では「顧客へインタビューしてみよう」という章がありました。これを読んだとき、少し過去のことを思い出しました。出版社で働いていた頃、顧客の声を聞く機会は少なかったですが、それがいかに大切かを痛感しました。実際に顧客に質問を投げかけることで、彼らが本当に何を求めているのか、どんな課題に直面しているのかを知ることができる。それを知ることで、どんな商品やサービスが必要とされているのかが明確になってくるのです。
私自身、東北を訪れたとき、現地の人々と話すことで、その土地の文化や生活に対する理解が深まった経験があります。人との対話から得られるものの大きさを改めて感じました。
プロトタイプから始まるものづくりの旅
この本の中で特に印象的だったのは、プロトタイプを作る重要性です。昔、友人と一緒に小さなプロジェクトを立ち上げたことがあったのですが、そのときの試行錯誤を思い出しました。プロトタイプという形で具体的にものを作り、それをテストすることで初めて見えてくる問題点や改善点がある。実際に手を動かしてみることで、頭の中で考えているだけではわからないことがたくさんあるんですよね。
斉藤さんは、そんなプロセスを通じて最初の100人を作ることの大切さを教えてくれます。信頼できる人たちとのネットワークを築き上げることで、事業の基盤を固めることができるのです。
この本を通じて、私はただのビジネスノウハウ以上のものを得ることができました。自分自身の経験や資産を見直し、それをどう活かしていくかを考える機会を与えてくれたのです。そして、何よりも、自分が本当にやりたいことに向けて一歩を踏み出す勇気をもらいました。