エッセイ
2025年08月05日 21時24分

「孫育て」の新たな視点に気づかされる『孫と遊んで若返る! 老化予防82の秘密』を読んで

福岡から東京に出てきて数年、都会の喧騒に慣れてきたと思った矢先に、ふとしたきっかけで手に取った本がありました。それが『孫と遊んで若返る! 老化予防82の秘密』です。タイトルからして「孫育て」というテーマに、一瞬自分にはまだ早いかなと思ったんです。でも、何か心に引っ掛かるものがあって、ページをめくり始めたんですよね。

孫育ては祖父母育て

著者の池田紅玉さんは、英語音声学とバイリンガル子育てが専門の方で、「孫育ては祖父母育て」と言い切っています。この言葉が、私にはとても新鮮で、心にズシンと響きました。思い返せば、私の祖父母も、私たち孫が訪れるたびに、活気づいていたように思います。孫と過ごす時間が、彼らにとってどれだけ貴重だったのか、この本を読んで改めて実感しました。

特に面白かったのが、「孫と一緒に学ぶことで、祖父母自身も成長する」という考え方です。池田さんは、英語や算数、読み聞かせといった具体的な方法を通じて、孫と祖父母が共に学び合うことの大切さを説いています。これには、孫を通じて新しいことに触れることで、祖父母の生活が豊かになるという視点があるのです。なんだか、私自身も未来の自分を想像して、少しずつ心が温かくなりました。

学びの基本はアナログ

また、「学びの基本はアナログ」という考え方も、深く心に残りました。今の時代、何でもデジタル化が進んでいますが、池田さんは、そろばんや読み聞かせといったアナログな方法こそが、子どもの成長に大切であると力説します。これには、私も大いに共感しました。パソコンやスマートフォンが普及したとはいえ、やはり手を動かし、頭を使うという基本を大切にしたいという思いがあります。

私自身、子どもの頃に祖母と一緒にそろばんをした記憶があります。あの頃の一つひとつの珠を弾く感触や、数を数えるリズムは、今でも心に残っています。その経験が、今の自分を形作っていると思うと、この本が提案する「アナログで学ぶこと」の価値を改めて感じます。

孫と過ごす時間の奇跡

池田さんは、孫と過ごすことを「奇跡」と表現しています。この言葉には、深い愛情が込められていると感じました。確かに、今の時代に孫がいるというのは、特別なことかもしれません。私自身はまだ孫どころか子どももいませんが、未来のことを考えると、家族という存在のありがたさを思わずにはいられませんでした。

この本を読み終えて、私は静かに心を動かされました。祖父母と孫の関係は、ただ年齢差のある家族というだけでなく、互いに学び合い、成長し合う素晴らしい関係なのだと。この気づきは、私にとって大きな収穫でした。

最初は自分にはまだ早いテーマかなと思いましたが、読み進めるうちに、この本が私に「未来への準備」を教えてくれたように思います。派手じゃないけど、これは良書です。最後まで読むと、静かに泣ける、そんな一冊でした。

晴斗

晴斗

福岡在住、静かな読書が好きな会社員です。ノンフィクションや地方の物語を読みながら、自分の暮らしをゆっくり整えています。派手な本よりも、じんわり心に残る本が好きです。読書は、静かだけれど豊かな旅だと思っています。

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