家族の闇を照らす光:『近親性交: 語られざる家族の闇』を読んで
こんにちは、京都で哲学と文学を学んでいる大学生です。今日は、阿部恭子さんの『近親性交: 語られざる家族の闇』という本についてお話ししたいと思います。この本は、タイトルからしてかなりショッキングで、「そんな話題、正直に語られても…」と最初は戸惑いました。でも、読み進めるうちに、まるで暗いトンネルの中で小さな光を見つけたような気持ちになりました。
心の奥底に触れる物語
この本には、普段はあまり公にされない家族の内側の話が綴られています。私は、家族というものがどうあるべきか、どうあってほしいかについて、ずっと考えてきました。私にとって家族とは、安心できる場所であるべきなのに、時にその場所が恐ろしい場所になることもあるんだと、この本を通して気づかされました。
特に印象的だったのは、家族内での力関係や、世間体がどれほど人を縛るのかという部分です。ある家族の話では、父親の暴力が日常的に行われ、誰もそれに逆らえないという状況が描かれていました。読んでいて、なんとも言えない無力感に襲われました。私は、家族が「逃げ場のない場所」になることがあるなんて、考えもしませんでした。
心に残った一言
ある場面で、被害者が「もう帰る場所がない」と言ったシーンがありました。それを読んで、心がぎゅっと締め付けられるようでした。私自身、家族と過ごす時間が何よりも大切だと思っているので、もしその家族が信じられない存在になってしまったら、どれだけ辛いだろうかと想像しました。
この本を通して、家族というものが必ずしも安全で安心できる場所ではないという現実を知りました。でも、だからこそ、誰かがその話を聞いて、理解しようとすることが大切なんだと思います。たぶん、そういうことなんだと思います。
読後に感じた希望
読んでいる間はずっと重たい気持ちが続くかと思いきや、読後には不思議と少しだけ希望を感じました。阿部さんがこの本を書くことで、語られなかったことが語られるようになり、誰かが手を差し伸べるきっかけになるかもしれない。そう思うと、少しだけ心が軽くなりました。
この本を読み終えた今、私は「家族とは何か?」という問いを改めて考えさせられました。家族だからこそ、見えないもの、見ようとしないものがある。そして、それを見つめる勇気が、次の一歩を踏み出すための力になるのかもしれません。
この本は、決して楽しい読書体験ではないかもしれません。でも、何かを感じ、考え、そして誰かと語り合うきっかけになる本だと思います。私なりの読み方ですが、これが今の私の結論です。興味があれば、ぜひ手に取ってみてください。