「ドルの影と光――北野幸伯著『アメリカのアキレス腱』を読んで考えたこと」
先日、図書館をぶらついていると、思わず手に取ってしまったのが北野幸伯さんの『アメリカのアキレス腱』でした。正直なところ、本のタイトルに少し怖気付きました。アメリカの経済の裏側や戦略なんて、難しそうだし、私には縁遠い話かもしれない。でも、なぜかその”アキレス腱”という言葉に引き込まれたんです。
アメリカの強さとその陰
読んでみると、アメリカの強さの裏には、私たちが普段見過ごしがちな脆弱性があることが描かれていました。アメリカの「双子の赤字」――貿易赤字と財政赤字の話は、数字だけ見るとすごく圧倒されるけど、そうか、ドルが基軸通貨だからこそ、こうした赤字が表面化しないのかと納得しました。
この本を読みながら、私の頭の中で何度も響いたのは、「なぜアメリカは破綻しないのか?」という問いでした。私は、経済のことは詳しくないけれど、ドルを印刷すればいいという話には、なんとも言えない不安がありました。何か根本的な問題を先送りにしているような、そんな印象を受けたんです。
歴史の中でのドルの役割
本の中で語られるドルの歴史とその役割は、私の学生時代の歴史の授業を思い出させました。教科書には書かれていない、ドルがいかにして世界経済に影響を与えてきたのかを知ることで、歴史は生き続け、形を変えて今に至るのだと感じました。
特に、アメリカの石油政策とドルの関係性についての話は、実に興味深かったです。イラク戦争が石油利権のためだったという指摘には、ただただ驚かされました。政治と経済がこんなに密接に絡み合っているとは、普段ニュースを見ているだけでは実感できないですから。
私たちにできることは?
この本を読み進める中で、ずっと考えていたのは、「じゃあ、私たちにできることは何だろう?」ということです。もちろん、私が今すぐに何かを変える力はありません。でも、こうした知識を持つこと、それを誰かと共有することが、まずは小さな一歩になるのかもしれないと思いました。
北野さんが繰り返し強調していたのは、歴史は繰り返されるということ。私たちが歴史を学び、そこから何を学び取るかが大切なんだ、と。
読後の余韻
この本を閉じたとき、なんだか一人で長い旅から帰ってきたような感覚になりました。アメリカという国の表と裏を見たことで、経済が私たちの日常とどれほど深く結びついているかを再認識したからかもしれません。
本を通じて、私たちの知らない世界が広がっていることを感じられます。この本を読んで、世界をもう少し広く、深く見つめることができた気がします。結論は出せないけれど、これが今の私の読み方です。