エッセイ
2025年08月05日 04時05分

心に刻まれるアニメの裏側――宮崎駿とジブリの軌跡を辿る

こんにちは。この記事を書こうと思った理由は、最近読んだ本がとても心に残ったからです。タイトルを見てピンと来る方もいるかもしれませんが、『天空の城ラピュタ』の制作秘話を語る一冊です。それは、木原浩勝さんの手による、まるでジブリの制作現場を覗き見るような、そんな本でした。

宮崎駿に憧れて

私は子どもの頃からジブリ作品に心を奪われてきました。特に、『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』は、何度も繰り返し観ていました。だから、木原さんが宮崎駿監督に学びたくてアニメ業界に飛び込んだという話を読んだとき、すごく共感したんです。私も同じように、何かに心底惹かれて、その世界に飛び込んでみたくなる衝動って、あるんですよね。

木原さんの最初の仕事は、塩化ビニールのシートに絵の具を塗って、1枚1枚撮影するという、今では考えられないほどアナログなものでした。そんな彼の奮闘ぶりは、どこか懐かしく、そして勇気をもらえるものでした。私自身も、何度も失敗しながら、少しずつ成長してきたなぁと、ふと自分の経験と重ね合わせて読み進めました。

スタジオジブリへの道

トップクラフトが解散し、木原さんが次に進むべき道として選んだのは、スタジオジブリでした。この選択がどれほど彼にとって大きな意味を持ったのか、読んでいるうちにひしひしと伝わってきました。「宮崎駿監督に学びたい」と言い続けた彼に、ついにその機会が訪れたのです。私はこの部分を読みながら、自分が大学で哲学を学んでいる理由を改めて考えました。私にとって哲学は、世界をより深く理解するための手段であり、常に新しい視点を与えてくれるものです。

スタジオジブリでの仕事は、想像以上に過酷だったようです。宮崎監督の初の原作・脚本作品『天空の城ラピュタ』の制作は、まさに壮絶なものでした。監督自身、深夜まで絵コンテを描き続け、髪が白くなるほどのプレッシャーだったといいます。この情熱と執念があったからこそ、今でも多くの人々に愛され続ける作品が生まれたのだと思います。

若きアニメーターたちの挑戦

『ラピュタ』の制作現場には、当時のトップアニメーターたちが集結しました。彼らの中には、金田伊功さんや飯田馬之介さんのような、今では伝説とされるアニメーターもいました。若い動画や原画の人たちが、彼らの仕事をこっそり見ては「上手い」と唸りながら、自分たちの仕事に戻っていく姿を想像してみると、なんだか心が熱くなります。

私も、何かを学びたいとき、先輩や先生のやり方を真似したり、参考にしたりしてきました。どんなに小さなことでも、誰かが努力して作り上げたものには学ぶべき点がたくさんあるんですよね。そうやって少しずつ成長していく過程が、何よりも楽しいと感じます。

本が教えてくれるもの

この本を通じて、アニメーション制作の裏側にある情熱や、作品に注がれる膨大なエネルギーを知ることができました。そして、何よりも大切なのは、どんなに厳しい状況でも、自分の信念を貫くことの大切さです。木原さんが宮崎駿監督に学びたいという想いを抱き続けたことが、彼の人生を豊かにしていったのだと思います。

私も、自分の好きなことを追い求めて、どんな困難があっても信念を持ち続けたいと思いました。結局のところ、人生は自分自身で選び取るものなんですよね。この本が私に教えてくれたのは、まさにそんなシンプルで、けれども深いメッセージです。

……たぶん、そういうことなんだと思います。この本を読んで、私はまた一つ、人生について考えるきっかけを得たように思います。結論は出せないけれど、これが今の私の読み方です。

一ノ瀬悠

一ノ瀬悠

京都で哲学と文学を学ぶ大学生です。読書は、まだ言葉にできない気持ちと静かに向き合う時間。小さな喫茶店で本を読みながら、たまに日記のような読書ノートを書いています。

物語のなかに静かな絶望や、小さな希望を見つける瞬間が好きです。

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