「ひのえうまはなぜ人々の心を揺さぶったのか?──時代を超えて考える迷信の力」
こんにちは、京都からお送りします。ちょっと不思議な本を手に取りました。『ひのえうま 江戸から令和の迷信と日本社会』、吉川徹さんの著作です。これ、読んでる間ずっと心の中で小さな問いが膨らんでいくような、そんな体験でした。ちょっと座って、私の感じたことをお話しさせてください。
ひのえうま、私たちの知らない迷信の姿
まず「ひのえうま」って、皆さんご存知ですか?私もこの本を読むまでその詳細には無知でした。1966年生まれの女性は気性が荒い、なんていう迷信があったなんて、正直驚きました。でも、もっと驚くのは、それが単なる噂話ではなく、実際に人々の行動に影響を与えていたという事実でした。これは単なる迷信を超えて、人々の心に深い影響を与えた文化現象なんですね。
本を読んでいて思い出したのは、小さい頃、母がよく「この子は天中殺だから、気をつけなさい」と言っていたことです。なんだかよくわからなかったけど、それが妙に心に残っていました。そんな漠然とした不安や期待が、どれだけ人の行動を左右するのか、改めて考えさせられました。
時代と共に変わる迷信の力
『ひのえうま』がやはりすごいのは、その迷信が単に過去の出来事ではなく、どのように時代を超えて変化していくのかを詳しく分析しているところです。1966年当時、メディアがどれだけ人々の意識に影響を与えたのか、具体的なデータをもって明らかにしてくれます。著者の吉川さんは計量社会学者として、冷静にデータを分析しつつも、人々の心の動きに対する深い洞察を見せてくれます。
この本を読みながら、ふと思ったのは、今の時代もまた、別の形の「迷信」が私たちを取り巻いているのかもしれないということです。SNSで飛び交う噂や流行、それらがどれだけ私たちの行動や考え方を左右しているのか、考えると少し怖くなりますね。
迷信を超えて、現代をどう生きるか
2026年に再びひのえうまの年が巡ってくることについても、吉川さんは興味深い考察をしています。次のひのえうまの年には、もうそんなに影響はないだろうと。今の時代、干支の影響は薄れているし、出生数自体も減少傾向にあります。そんな中で、私たちはどんな「迷信」や「噂」に流されずに生きていけるのか、それを考えるきっかけになる本だと思いました。
ふと、私自身の生活を振り返ってみると、ついつい流行に振り回されてしまう自分がいることに気づきます。これが本当に自分の選択なのか、それとも無意識に何かに影響されているのか、迷信を手がかりに問い直すのもいいかもしれません。
最後に、この本を読んで感じたのは、迷信や噂といったものが持つ力の大きさです。それが単なる過去のものではなく、私たちの現代生活にも通じるテーマだということ。静かに、でも確実に心を揺さぶる一冊でした。……たぶん、そういうことなんだと思います。