異国の豆腐屋で見つけた人生の味わい – 清水建宇『定年後は豆腐アドベンチャー』
バルセロナの風に乗せて
こんにちは。今日は清水建宇さんの『定年後は豆腐アドベンチャー』という本について、私の心がどう動いたのかお話ししたいと思います。この本を読んでいると、まるで自分がバルセロナの街を歩いているような気持ちになりました。スペインの風がページをめくるたびに頬をかすめ、カタルーニャの香りが漂ってくるんです。
清水さんは新聞記者として世界を旅した経験を持ち、定年後はバルセロナで豆腐屋を始めるという大胆な決断をしました。正直、最初は「なんで豆腐屋?」と思いましたけど、読み進めるうちに、その理由がじわじわと心に沁みてきたのです。
この本を読みながら、私の頭の中には、子どもの頃の思い出がよみがえってきました。家の近くにあった古い豆腐屋さんの匂い、店主のおじさんが笑顔で豆腐を手渡してくれた光景が浮かびます。その豆腐屋の記憶と、清水さんがバルセロナで奮闘する姿が重なり、なんだか懐かしい気持ちになりました。
冒険という名の日常
清水さんのバルセロナでの生活は、まさに「豆腐アドベンチャー」。新しい土地で新しいことを始める不安と期待がぎゅっと詰まっていて、読んでいると自分もその場に立ち会っているような錯覚に陥ります。特に印象的だったのは、豆腐屋を始めるにあたっての苦労話。機械がうまく動かないとか、現地の人々とのコミュニケーションとか、まさに「冒険」という言葉がぴったりです。
この本を読みながら、ふと大学での出来事を思い出しました。京都の大学で哲学を専攻している私には、何かを「新しく始める」ことが少し怖いと感じることがよくあります。ですが、清水さんの人生を通じて、「失敗したって、たいしたこたぁないよ」という言葉が心に残り、何かに挑戦する勇気をもらいました。
人と文化の交差点
清水さんの物語を追いながら、彼の話すバルセロナという街が、本当に魅力的に思えました。カタルーニャの文化と日本の文化が交わる場所として、豆腐というアイテムがどんな役割を果たしたのか、非常に興味深かったです。実際、バルセロナの日本食ブームの中で、豆腐がどんな風に受け入れられていったのかを知るのは、まるで文化の交差点を旅するような感覚でした。
この部分を読みながら、私は自分がどれだけ文化に無知だったのかを痛感しました。カタルーニャがスペインとは異なる文化を持っていること、そしてその中で日本文化がどのように根付いているかを知るのは、非常に新鮮な体験でした。異国の地で自分の文化を守りつつ、新しいものを取り入れていく姿勢は、私自身も心がけたいと思いました。
人生の味わいを求めて
『定年後は豆腐アドベンチャー』は、定年後の人生をどう生きるかというテーマだけでなく、人生そのものの味わい方を教えてくれる本だと感じました。清水さんの冒険は、特別なことではなく、彼にとってはとても自然な流れだったのではないかと思います。誰もが決して避けられない「老い」や「変化」に対する考え方を学ぶことができました。
最終的に、清水さんのストーリーは、私にとって「やりたいことをやってみる」勇気を与えてくれました。彼のように大きな冒険はできなくとも、小さな一歩を踏み出すことの大切さを教えてくれたのです。だからこそ、この本を読んでよかったと思います。
もしも人生の選択に迷っている人がいたら、ぜひこの本を手に取ってほしいと思います。きっと、あなたの心にも新しい風を運んでくれることでしょう。