『話が通じない相手と話をする方法』ピーター・ボゴジアン著:対話の中に見つける、思いやりの哲学
こんにちは。今日はちょっとおもしろい本を手に取ったので、その感想をお話ししてみたいと思います。題名は『話が通じない相手と話をする方法』で、著者はピーター・ボゴジアンさんという方です。なんだか、題名だけ見ると、ちょっとした魔法みたいなことを教えてくれるんじゃないかって期待しちゃいますよね。
対話の中で見つけたもの
本の中で紹介されている対話の方法は、論破することを目的とするものではなく、相手の考えを理解しようとすることからスタートします。この考え方に触れたとき、私の中で、ある昔の出来事がよみがえってきました。
ある日、書店に一人の若者がやってきました。彼は本を買うというより、何かを知りたくてうずうずしているようでした。「ねえ、どうしてこの本はこういうことを書いているんだろう?」と尋ねてきた彼に、私は彼の問いを深掘りしたくて、「それを知りたいと思ったのはどうして?」と聞いてみました。彼は少し戸惑った様子でしたが、私に自分の考えをゆっくりと話してくれました。そのときの彼の顔は、何か新しい視点を手に入れたような明るさがありました。
この本で紹介されているのは、まさにそういう対話の在り方です。相手の話を聞き、単に自分の意見を押し付けるのではなく、相手の考えに寄り添いながら、互いに理解を深めていく。この姿勢に、私はとても共感しました。
心の中にある「橋」を架ける
この本を読み進めるうちに感じたのは、「心の中に橋を架ける」というイメージです。対話の中で、相手に「どうしてそう思うの?」と問いかけることは、まるで相手と自分の間に見えない橋を架けるようなものです。その橋を渡ることで、お互いが少しずつ歩み寄ることができるのです。
私が子どもの頃、祖父とよくしていた会話を思い出します。祖父はいつも私の話を丁寧に聞いてくれ、そのうえで「そうか、じゃあこれはどうだろう?」と新しい視点を示してくれました。それは、私が一方的に何かを教わるのではなく、祖父と一緒に新しい考えを探していくような、そんな楽しい時間でした。
この本を読んで、あの頃の祖父との会話が、ただの思い出ではなく、今の私にとって大切な対話の基礎になっていることに気づきました。
思いやりという武器
ピーター・ボゴジアンさんの本が伝えようとしているのは、最終的には「思いやり」なのかな、と思います。話が通じないように感じるとき、どうしてもイライラしたり、相手を変えようとする気持ちが強くなってしまうことがありますよね。でも、そこで一歩引いて、相手を理解しようとする姿勢こそが、本当に大切なのだと教えてくれました。
私自身も、時には「話が通じないなあ」と感じることがあります。そんなとき、この本で学んだことを思い出して、まずは相手の話をじっくりと聞いてみようと思うのです。そして、そこから新しい何かを見つけることができたら、それはとても素敵なことだと思います。
この本を閉じた後、なんだか心が少し温かくなった気がしました。そっと本棚に置いておきたい一冊です。