「hintアカデミーの教科書」が教えてくれた、組織と人の在り方
この本を手に取ったのは、大学でのゼミの影響もあって、最近「組織」というものに興味を持ち始めたからです。正直、組織という言葉には少し距離を感じていました。大学生の私にとって、組織というのはまだ経験したことのない未知の世界で、どこか大人の世界の話のように思えたのです。でも、この本を読んでいるうちに、組織の話がどんどんと自分の生活に近づいてくるような感覚を覚えました。
組織の中の「人間らしさ」
この本が教科書として使われている「hintアカデミー」。その名を聞くだけでなんだか心が弾むような、何かを学べる期待感が漂います。著者の斉藤さんが語る組織論は、どこか温かみを感じさせるものでした。強く心に残ったのは、良い組織とは「信頼関係があり、各自の自主性を尊重し、失敗から学ぶことができる」という部分です。
私は、これを読んで、過去に参加した大学のサークルを思い出しました。そこでは、リーダーが強権的で、メンバーはいつも彼の顔色をうかがっていました。結局、誰も新しいことに挑戦しようとしなくなり、サークルは活気を失ってしまったのです。この本が教えてくれたのは、どんな組織でも「人間らしさ」を大切にすることが重要だということ。組織はただのシステムではなく、人と人がつながる場なんだと改めて感じました。
「心理的安全性」とは何か
本を進めていくうちに「心理的安全性」という言葉に何度も出会いました。最初は「心理的安全性」と聞いて、何となく抽象的で、つかみどころのない概念に思えました。でも、グーグルの調査結果を通して具体的な形を見せるこの章を読んで、その重要性がはっきりと理解できました。
グーグルが行った180チームの調査では、心理的安全性が高いチームの生産性が高いという結果が出たそうです。つまり、メンバーが安心して発言できる環境が、チームの成果に直結するということです。これを知ったとき、私はふと大学の講義での自分を思い出しました。発言するのが怖くて、黙ってしまったことが何度もあったのです。でも、心理的安全性のある環境なら、もっと自分の意見を出せたかもしれない。それを思うと、少し悔しくもありました。
「傾聴」の力
また、この本の中で「傾聴」の力が強調されていました。上司やリーダーが部下の話をしっかりと聞くことが、心理的安全性を生むというのです。これを読んで、私自身も人の話を聞くときの姿勢を見直すきっかけになりました。
大学でのグループワークの中で、つい自分の意見ばかりを押し付けてしまった経験があります。おそらく、あの時の私は、自分が正しいと思い込んでいて、他の人の意見に耳を傾けていなかったのかもしれません。でも、この本を読んでからは、誰かが話すときに、その人の気持ちや考えをより深く理解しようと意識するようになりました。
「自分のことを理解してもらいたい」という人間の根源的な欲求を、傾聴という行為が満たしてくれる。そんなふうに思えるようになりました。これからは、もっと人の話を聞くことを大切にしていきたいと思います。
「hintアカデミー」での学び
最後に、この本を通じて「hintアカデミー」の学びが少し見えてきました。教科書として使われるだけあって、基礎的な内容がしっかりと詰まっています。斉藤さんの体験談は少ないですが、それが逆に読者が自分の経験を重ね合わせる余地を与えてくれるように感じました。
組織の中で悩んでいる人にとって、この本は一つの指針となってくれるのではないでしょうか。組織はどこか堅苦しさがあるように思われがちですが、この本を読んでいると、組織はもっと柔らかくて、人間味のあるものだと感じさせてくれます。
……たぶん、そういうことなんだと思います。結論は出せないけれど、これが今の私の読み方です。