ノンフィクション
2025年07月13日 09時08分

「トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界」を読む:不安定な時代を生きる私たちへの警告

こんにちは。京都に住む大学生で、哲学と文学を学んでいる者です。読書は私にとって、趣味でもあり、思考の実験でもあり、時には逃避のようなものでもあります。子どもの頃は本があれば友達がいなくても平気でしたが、大学に入ってからは読書を通じて人と語り合う楽しさに目覚めました。今回は、岩永憲治さんの『トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界』を読み、その感想をお届けしたいと思います。

トランプ政権2.0と世界経済の行方

本書を手に取ったのは、最近の経済ニュースに対する漠然とした不安からでした。トランプとイーロン・マスクがタッグを組むというMAGA政策には、なんだか現実離れしたドラマを感じますが、強烈なリアリティも伴っています。それが、私をこの本へと向かわせたのだと思います。

読み進めるうちに、私の中にあった不安が少しずつ形を持ってくるのを感じました。特に、関税政策や株式市場の動向についての章では、ニュースで耳にする単語が生々しく迫ってきました。まさに、今私たちが生きている世界が、これからどうなっていくのかをリアルに描いているようでした。

しかし、ただの危機感を煽るだけではありません。岩永さんは、多くのページを割いて、次世代の産業や企業についても触れています。これが希望なのか、それとも新たな不安の種なのかは読み手次第ですが、少なくとも「選択肢がある」ということが心に残りました。

金融危機の記憶と重ねる今

本書を読みながら、2008年のリーマン・ショックの記憶がよみがえりました。あのとき、まだ私は子どもでしたが、家族がニュースを見ながら不安そうにしていたのを覚えています。当時の私はその原因も結果もわからなかったけれど、「何か大変なことが起こっている」ということだけは感じ取っていました。

この本を読み終えた今、あの時の世界がどうしてあんなにも揺れ動いたのか、少しだけわかったような気がします。そして、今私たちが直面している不安定な状況が、もしかするとその時以上のインパクトを持つのではないか、という予感もしています。

「歴史は繰り返す」といいますが、まさにその通りなのかもしれません。そして、その繰り返しをどうやって乗り越えていくのか、個々人の選択にかかっているのだ、と感じました。

次なる一手を考える

本書の後半は、金融崩壊後に私たちがどう動くべきかについてのヒントが散りばめられています。正直に言えば、この部分を読んでいるとき、私の心は少し浮ついていました。次に来るであろう「マグニフィセント7」になる可能性のある企業や産業について語られると、未来に対する期待感が湧いてきます。

投資や経済について、まだまだ学ぶことの多い私ですが、こうした情報を得ることで、少しずつ未来に対する不安が和らいでいくように感じました。そして、何よりも、こうした知識を持っていることが、いざというときの自分の武器になるのだと思います。

「次なる一手を考える」ということは、決して簡単ではありません。しかし、知識を得て、情報を集め、自分自身の頭で考えること、それが私たちにできる最良の準備なのではないでしょうか。

心に残った言葉

最後に、私の心に深く刻まれた一節を紹介したいと思います。それは、「相場が暴落してからでは、もう遅いのである」という言葉です。この一言に、ただ情報を追いかけるだけではなく、未来を見据えた行動が大切だということを強く感じました。

岩永さんのこの言葉は、単なる経済的な示唆にとどまらず、私たちの生き方そのものにも通じるものがあります。何事も、事が起こってから慌てるのではなく、常に何が起こり得るかを考えて備えること。それが、私たちの生活においても重要なのだと思います。

この本を読んで、私は今、少しだけ未来を見通す視点を持てたように感じています。読んでよかった、そう心から思える一冊でした。

一ノ瀬悠

一ノ瀬悠

京都で哲学と文学を学ぶ大学生です。読書は、まだ言葉にできない気持ちと静かに向き合う時間。小さな喫茶店で本を読みながら、たまに日記のような読書ノートを書いています。

物語のなかに静かな絶望や、小さな希望を見つける瞬間が好きです。

タグ
#トランプ政権
#投資
#未来予測
#経済危機
#金融市場